【映画】三月のライオンを観た!【矢崎仁司監督作品】

はじめに

March comes in like a lion and goes out like a lamb.

これは三月の天候を例えた、イギリスのことわざだそうな。

ライオンのように荒々しい悪天候で幕開け、子羊のように穏やかに去っていく。

氷の季節と花の季節の間には、嵐の季節があるのだ。

そういうことらしい。

1992年公開の矢崎仁司監督の映画『三月のライオン』のタイトルはその言葉をもとにしている。

DICE+でたまたま見かけたその映画のキービジュアルに大いに目を引かれた。

アイスキャンディーを咥える女性の表情は、どこか虚ろだが妙に魅力的だったのだ。

そんなわけで、不意に観てみたのである。

なんかイイ

三月のライオンを観た

ごく大まかなあらすじ

ある兄妹の物語である。

記憶を失った兄ハルオ(趙方豪)の病室に現れた妹ナツコ(由良宜子)は、「アイス」と名のり「あなたの恋人です」と嘘を付きハルオを連れ出す。

氷の季節は嵐の季節へ移ろう。

そして過去を持たない恋人たちのぎこちない同棲生活が始まる。

感想とか

静かなようで鮮烈な魅力に満ちたカットから、なにやら目が離せずに引き込まれた。

画の力もさることながら、印象的な音の配置や少ないセリフにハッとさせられる。

90年代の東京の街並みの様子も良い。

そしてアイスというキャラクターも、危なっかしくも魅力的だ。

アイスは、でかいクーラーボックスをいつも担いでいる。

スキあらばそこからアイスキャンディーを取り出して咥える。周りにも配る。

ポラロイドを持ち歩いて自撮り含め写真を撮り、適当な場所に貼り付けて去る。

電話ボックスとポラロイドカメラを駆使した売春を敢行する。

その客が寝ているうちに衣服をすべて盗む。

そして、記憶を失った兄の前に現れ「あなたの恋人です」と偽る。

兄に盗んだ服を着せて連れ出す。

ボロアパートで一緒に暮らし始める。

やることが意味分からないくらい大胆で危うい。

二人の過去は極端に語られない。

思い出を持たない「恋人」たちは、どこか現実味の薄い生活を不器用にも紡ぐ。

季節が終わりに向かい、何かが溶け出してしまう予感はいよいよ拭えない。

ハルオの中の氷解した記憶が、溶けたアイスキャンディーと混濁してゆくのをただただ見届けるばかりであった。

アイスがアイスキャンディーを食べられなくなり、花の季節が顔をのぞかせる。

生命が芽吹く季節に、二人の罪悪感も決定的に芽吹く。

その発露を目の当たりにすることになり、なにやらたまらない気持ちになる。

タブーなテーマと危なっかしいアイス、多くを語らないセリフの量。

ガタガタに傾きそうな不安定な情報量を、鮮烈な画作りが支える。

不思議なバランスで成り立っているようで、そこもまた魅力だと感じられる。

そんな映画であった。

おわりに

さて、DICE+にてたまたま魅力的なサムネイルに惹かれて観て映画だったが、これが非常に良かった。

なんとも新鮮な「体験」だったとそう感じる。

先日「無垢の祈り」を観るためにDICE+の月額見放題プランの無料体験をした。

平山夢明原作映画「無垢の祈り」感想・レビュー 【映画】無垢の祈りを観た!【平山夢明×亀井亨】

結果的に「無垢の祈り」は「レンタル」のみ対応だったので、月額見放題は関係なかったのだが、せっかくなのでなにか見ようとDICE+を眺めていた。

そこで出会ったのが「三月のライオン」である。

キービジュアルが非常に素晴らしい、なんなら筆者の中ではそれに尽きる勢いだが、映画含めての体験とできて非常に良かったと感じる次第である。

しばらくしたら、また不意に観たい。

筆者
筆者

ということで「三月のライオン」を観た!という話であった。

昨今「三月のライオン」でググっても人気将棋漫画「3月のライオン」が検索結果として表示される、そんな映画でもある。

トリ
トリ

どんな映画だよ。

映画について知りたいと思って調べ始めたらいきなり調べにくかった、というどうでもいい話である。

筆者
筆者

どっちの作品もイイゾ!

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