さて、2019年8月26日にMTGの各フォーマットにおける禁止改定が発表された。
告知日:2019年8月26日
スタンダード
- 《暴れ回るフェロキドン》 禁止解除
モダン
- 《甦る死滅都市、ホガーク》 禁止
- 《信仰無き物あさり》 禁止
- 《石鍛冶の神秘家》 禁止解除
ヴィンテージ
- 《大いなる創造者、カーン》 制限
- 《神秘の炉》 制限
- 《精神的つまづき》 制限
- 《ゴルガリの墓トロール》 制限
- 《Fastbond》 制限解除
発効日:2019年8月30日
Magic Online発効日:2019年8月26日 米国太平洋時間・正午
MTGアリーナ発効日:2019年9月4日
トリ
石鍛治の神秘家が一気に値上がりしたわけで、しばし台風の目になるのであろう。
石鍛治といえばレガシー環境で大活躍のカードで、デスタクやマーベリックでのビートダウン戦略を強力に押し進める役割を担っている。
さて、よく参考にしている海外のレガシーマーベリック専門サイトにて、モダンのマーベリックはなりたつのか!?という記事があがっていた。
ここではその記事を翻訳してみたい。
参考 Modern Maverick with Stoneforge MysticGreen Sun's Zenithやむなし。
ということで以下訳である。
目次
翻訳 Modern Maverick with Stoneforge Mystic
掲載:August 27, 2019
著者:Douges氏
石鍛治の神秘家はモダン・マーベリックを成立させるのか?
石鍛治の神秘家がモダンにて解禁された。
過去数年間、モダンコミュニティにおいては一般的な話題ではあったため、個人的には(フェアデッキ大好きなファンとして)あまり満足できずにいる。
考えられるアーキタイプとそのリストに踏み込む前に、まずは強力な1/2のコー・工匠の歴史とそのモダンとの関係について紐解きたい。
Stoneforge Mysticはなぜ禁止されたのか?
これは一部の新規プレイヤーには驚かれることかもしれないが、石鍛治の神秘家はモダンでプレイされたことがないカードである。
石鍛治の神秘家は精神を刻む者、ジェイスとともにスタンダードで禁止され、モダンフォーマットが発表された段階でそのまま禁止リストに移されたのである。




以下はかつてのMTG開発者・Tom LaPilleが、石鍛治の神秘家をフォーマットから除外するに至った理由である。
「私たちは、Stoneforge Mysticが支配するさらに別のフォーマットを危険にさらすよりも、このカードを禁止することを好みます。」– Tom LaPille、2011
また、マジックのR&D・Aaron Forsytheは以下のように述べていた。
「標準のメタゲームは現時点では停滞しており、不健康であり、数か月間続いています。 ジェイスは、勝利したデッキリストに驚くほどの割合で登場し、石鍛治もまたほぼ同じ頻度で登場します。
参考までに、シンガポールグランプリ2日目のデッキの88%には複数枚のジェイスが含まれ、2日目のデッキのほぼ70%には石鍛治が含まれていました。
Pro Tour QualifiersとStarCityGames.com Open Seriesのような独立した大規模イベントの数字は非常によく似ています。
このようにカードがこの分野を支配しているのを見たことはないでしょう。」
石鍛治の神秘家がジェイスとともにスタンダードで禁止されて以来、多くのプレイヤーが解禁を求め、モダンは石鍛治のパワーを超えた環境になりつつあることを示唆した。
モダンが3ターンフォーマットに以降し、3ターン目の殴打頭蓋のパワーレベルについて言及した。
石鍛治の神秘家はモダンメタゲームをどう変える?
これは今後数カ月の中で答えを成熟させていくべき質問だが、今の所デッキを構築するときに誰もが答えようとしてる質問が1つある。
私のデッキは3ターン目の殴打頭蓋を気にするだろうか?
感染、むかつきストーム、唸りプリズン、トロン、アミュレットタイタンなどはほとんど気にならないだろう。
一直線なデッキたちにとっては影響があるだろう。
例えばバーンや8Wackのようなアーキタイプにとっては3ターン目に絆魂4/4クリーチャーが出てくることに対してデッキの何かしらの解答を持つ必要があるかもしれない。
石鍛治の神秘家はモダンのどこに収まる?
MTG Goldfishのモダンメタゲームの内訳を見ると、現在は故・ホガークや信仰無き物あさりに対抗するデッキで成り立っている。
次の数週間に渡って、プレイヤーは次のアーキタイプを試すだろう。
- ストーンブレード【UW、ジェスカイ、エスパー、マルドゥ】
- ジャンク・トークン【BW】
- デス&タックス、エルドラージタックス
- GWヘイトベア
- アーティファクトベースのデッキ【ソプターや純鋼】
@CalebdMTGの5-0 BWミッドレンジリストと、現在行われている石鍛治の神秘家アーキタイプの探索、テスト、評価の素晴らしい例である。
First 5-0 of the new modern 🙂 Bob is p good if people are playing UW control instead of W6 pic.twitter.com/PBNQn0f6Ie
— CalebdMTG (@CalebDMTG) August 27, 2019
この記事で焦点を当てたいのは、GWクリーチャーベースのモダンデッキである。
実際、モダンマーベリックと、レガシーデッキをモダンに移植する方法については以下のFORMAT SHIFTEDシリーズの動画内にて既に説明している。
マーベリックとは?
History of Maverickのページから引用する。
マーベリックは2011年初頭のレガシーメタゲームでデビューした。これはミラディン包囲戦のリリースと緑の太陽の頂点の印刷に起因している。
このデッキは、伝統的にGWミッドレンジのツールボックスデッキであり、この以前から適者生存を用いて存在していた。
姉妹デッキであるデスタクと同様に、マーベリックはスレイベンの守護者、サリアやルーンの母のような強力なクリーチャーと不毛の大地とカラカスのような強力な土地を用いる。
デッキは対戦相手を邪魔し、同時に聖遺の騎士、不屈の追跡者、または厄介な脅威となるクリーチャーで打ち負かすのである。
モダンではマーベリックデッキはよく似た形にできるがパワーレベルが少し調整される。
過去にGWヘイトベアやバリュータウンなどのデッキがあり、サリア、聖遺の騎士、またガドック・ティーグや漁る軟泥のような熊で相手を倒す形を取っていた。
クラシックGWヘイトベア
GWヘイトベアはBrian Kiblerが2013 Magic the Gathering World Championshipにてプレイされ、Pleasant Kenobiにより広まり、モダンフォーマットにおける私の最初のテイストとなった。
1ターン目に寺院の庭から貴族の教主をプレイし、2ターン目にレオニンの裁き人を出し幽霊街を露天鉱床としてプレイするのである。
対戦相手がキャストできるものを制限し、デッキから完全に締め出そうというデッキであり、私はそのスタイルに常に興味があったのだ。
しかし、このデッキで石鍛治の神秘家について考えるとき、明らかに一つ問題がある。
レオニンの裁き人でサーチが制限されるのである。
2マナ支払わない限り、プレイヤーがライブラリを検索できないようにするのだ。
石鍛治を相手にする分には良いのだが同じデッキに共存させるのは難しいだろう。
さて、私が信頼するのはデスタクマスターのマイケル・ボンデである。
Ive played a Arbiter focused legacy build with only 2 SFM, and it wasnt a problem, maybe this is a bit too heavy, but i would imagine, that hands that do ArB+Ghost is often a turn3 play, and if you have vial you can often pay the 2 to search. Anti-Syngergi, but nothing that bad
— Michael Bonde (@Lampalot) August 27, 2019
これは今後数週間のうちにローカルメタにて提供されうるリストである。
接合者、クァーサル、秋の騎士、ちらつき鬼火、修復の天使を用いた異なる明滅戦略をもつ人気のあるGWもあるが、この構築だと、コントロール(UW、グリクシス、ジェスカイ)やミッドレンジ(ジャンド、ジャンク)にて強い結果をもたらした。
このデッキで石鍛治を使うと、殴打頭蓋を初期の脅威として繰り出すか、装備品でビートすることができる。
火と氷の剣がスロットを支配しているレガシーと異なり、光と影の剣は致命的な一押し、流刑への道、四肢切断などの中心的除去を回避することができるため、モダンでは良いだろう。


ブロックされなくなるクリーチャーとしては、石鍛治の神秘家、殴打頭蓋のトークン、グルマグのアンコウ、死の影、苦花や未練ある魂のトークンが挙げられる。
飢餓と饗宴の剣は、タルモゴイフやウーズ、あるいは黒いクリーチャーなどと対峙する際に便利だろう。


最初のメインフェーズでマナベースを使用し、それをアンタップして、2番目のフェーズでより多くの呪文を唱えることができれば、ミッドレンジとコントロールデッキに打撃を与える。
GWバリュータウン
これはレガシーGWマーベリックをピーチ氏のリストである。彼はモダンにて耐えうる形で移植している。
これは石鍛治パッケージのおかげでさらに攻撃性が加わったモダンのGWバリュータウンのリストとなる。
whoops. missed ooze from initial draft. Like I said i just wanted to get ideas out there rather than really thinking it through. Eldamris call might be good but not putting a creature into play seems worse than dev. dev returns from GY @TheMaverickGal @PleasantKenobi @hovermyr pic.twitter.com/BmYzbOtw4z
— Peach (@jetpack_blues) August 26, 2019
GWでの石鍛治に関する彼の考えは次のとおり。
石鍛治はマーベリック、デスタクデッキにある程度の牽引力を持たせる。
コントロールデッキに対峙する際の饗宴と飢餓の剣、アグレッシブなデッキに対する殴打頭蓋といった形である。
実際に石鍛治4枚を必要とせず、より多くのユーティリティクリーチャーを必要とし、装備品を介してゲームを終了する方法として石鍛治を使用するレガシーのデッキに似ているだろう。
モダンでは梅澤の十手にアクセスできないためレガシーほどのパワーではないが、少なくとも試してみる機会があるわけで、GW/xデッキのあらゆる作法を知り、彼女の居場所を見つけたいところである。
今の所、私を含む誰もが石鍛治の神秘家パッケージを使っているが、トロンはいい居場所だろう。
モダンGWマーベリックがレガシーと異なることは間違いない。
緑の太陽の頂点、ルーンの母、不毛の大地はない。
代わりにルーンの与え手がこちらの脅威を守り、エラダムリーの呼び声と破滅の終焉がシルバーバレット戦略を可能にする。幽霊街、廃墟の地、地盤の際は土地破壊戦略を受け継いでいる。
重い禁止改定の後のデッキ構築の難しいところは、次のようなところだろう。
ガドック・ティーグは60枚の中に必要だろうか?漁る軟泥は複数必要か?一度メタが確立されると、これらのタイプの構築は、特にローカルメタについてははるかに簡単に調整できる。
密かにモダンで最高のカード
エイヴンの思考検閲者はタックス戦略において常に私のお気に入りである。


フェッチランドや今回の石鍛治が多く採用されうるモダンフォーマットにおいてはこのエイヴンがレオニンのようにゲームプランに影響を与えることなく予想されるメタと戦う素晴らしい方法だろう。
貴族の教主を用いることで、2ターン目からキャストできる。つまり、プレイ中に相手の石鍛治を抑制することができるのだ(若干の運が必要だが)。
UWコントロールとGWミッドレンジのバリエーションは、75枚を決める段階においてこのインスタントスピードの鳥を考慮しずらいだろう。
本日のプロのヒント
1つ目 殴打頭蓋のバウンス時の順番
殴打頭蓋をバウンスしてリセットしたい場合のポイントである。
石鍛治が除去されうる場合は、石鍛治を起動し、優先権を渡さずに殴打頭蓋をバウンスする。




そうすることで石鍛治がバウンス起動スタックで除去されても起動しておいた能力はスタックに残るのだ。
もしこれを行わずに最初に殴打頭蓋をバウンスしてしまうと、そのスタックで石鍛治が除去られてしまうことになる。
くれぐれも覚えておくべきだろう。
もし4/4が必要な場合は、必ず優先権を保持すべし!もし4/4が必要な場合は、必ず優先権を保持すべし!もし4/4が必要な場合は、必ず優先権を保持すべし!
わかっただろうか。
2つ目 対戦相手の対応を伺いたいとき(対人間、WU)
装備が手札にない時に石鍛治を起動しよう。
霊気の薬瓶からの帆凧や、ヴェンデリオンを使ってくるかもしれない。




どうだろうか?
Or how about activivating Stoneforge Music against Humans or UW Control without any equipment in hand to see if they play a Vend. Clique or Vial in a Kitesail in response? Is that next level enough for you? ARE YOU NOT ENTERTAINED?! ⚔️⚔️
— DougesOnTwitch🎥 (@DougesOnTwitch) August 28, 2019
結論
フォーマットがリセットされたように感じることは、エキサイティングなことである。
石鍛治は今後数年間環境を支配するのか?
テストと時間がそれを教えてくれるのだ。石鍛治は競技レベルのアーキタイプの種類が豊富で、今後数カ月のうちに少なくとも1〜2ヶ月で勢力を増すと確信している。
石鍛治はモダンにおいて強力すぎると感じたり白いデッキ使いに対して視野狭窄になっている人もいるだろうが、私はそういった考えが間違っていると証明されると信じている。
Douges氏
GreenSunsZenithの設立者。2013からマジックに触れ、2014からレガシーをプレイしている。
元デスタクプレイヤーで、マーベリックのビギナーからエキスパートまで役立つサイトGreenSunsZenithを作ったマーベリックファンである。
何かあれば各ソーシャルリンクから連絡されたし。
おわりに
ということでモダン版のマーベリックへのアプローチを記した記事を訳してみた。
訳の精度はともかくとして、禁止改定に向けて皆デッキの構想をあれこれ考えるだろうが、1つの参考になるのではないだろうか。
筆者としても、ドルイドコンボを使っているのでどうにか石鍛治を絡ませたい、あるいは徹底的に対策したいと妄想している次第である。
いやはや、それにしても環境激変、楽しみである。